日伊文化交流協会IROHA芸術会員の紹介
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師走

連歌、連句、俳句で、句の季節を示すために読み込むように定められた語。例えば鶯は春の季語、金魚は夏。季題、季の言葉とも言う。

旧暦12月を師走(しわす)または極月(ごくげつ)と呼び、現在師走は、新暦12月の別名としても用いられる。その由来は坊主(師・師には、僧侶の意味もある)が走り回るほど忙しくなるからと、言われている。
かつては旧暦12月13日、現在は新暦12月13日に行われる正月事始め(しょうがつことはじめ)は、正月を迎える準備を始めること。昔はこの日に門松やお雑煮を炊くための薪など、お正月に必要な木を山へ取りに行く習慣があった。
江戸時代中期まで使われていた宣明暦では12月13日の二十八宿は必ず「鬼」になっており、鬼の日は婚礼以外は全てのことに吉とされているので、正月の年神様を迎えるのに良いとして、この日が選ばれた。その後の改暦で日付と二十八宿は同期しなくなったが、正月事始めの日付は12月13日のままとなった。

大晦日(おおみそか)は、1年の最後の日。大つごもりともいう。 日本では、年神を迎えることにちなむ行事が行われる。 旧暦では毎月の最終日を晦日(みそか)といった。晦日のうち、年内で最後の晦日、つまり12月(または閏12月)の晦日を大晦日といった。もともと“みそ”は“三十”であり、“みそか”は30日の意味だった。ただし、月の大小が年によって変動するので、実際には29日のこともあった。現在は、新暦の12月31日を指す。
大晦日を大つごもりともいった。「つごもり」は、晦日の別名であり、「月隠り(つきごもり)」が転じたものである。 大晦日には、様々な年越しの行事が行われる。年越しの夜のことを除夜(じょや)とも言う。かつては、除夜は年神を迎えるために一晩中起きている習わしがあり、この夜に早く寝ると白髪になるとか、皴が寄るとかいった俗信があった。

大晦日の伝統的な風習に年越しそばがある。
年越し蕎麦(としこしそば)とは、大晦日(12月31日)に縁起をかついで食べられる蕎麦のことである。 現在の日本では、全国的に見られる風習である。年を越す前に食べきらなければならず、蕎麦を残すと翌年金運に恵まれないなどと言われる。
元々、江戸時代中期には月末に蕎麦を食べる「三十日(みそか)そば」という習慣があり、大晦日のみにその習慣が残ったものと考えられている。
年越し蕎麦の由来とされる説は「細く長く達者に暮らせることを願って」というものがもっとも一般的である。他に蕎麦が切れやすいことから、一年間の苦労を切り捨て翌年に持ち越さないよう願ったとか、金細工職人が作業場に散った金粉を蕎麦粉の団子で集めたことにちなみ、金運を願った、などの説もある。

12月31日の除夜(大晦日の夜)、深夜0時を挟んで寺院では除夜の鐘(じょやのかね)が撞かれる。回数は108回、その由来には諸説ある。

  • 眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)の六根のそれぞれに好(こう:気持ちが好い)・悪(あく:気持ちが悪い)・平(へい:どうでもよい)があって18類、この18類それぞれに浄(じょう)・染(せん:きたない)の2類があって36類、この36類を前世・今世・来世の三世に配当して108となり、人間の煩悩の数を表す。
  • 月の数の12、二十四節気の数の24、七十二候の数の72を足した数が108となり、1年間を表す。
  • 四苦八苦を取り払うということで、4×9+8×9=108をかけたとも言われている。

鐘を撞く前には鐘に向かって合掌する。108回のうち107回は旧年(12月31日)のうちに撞き、残りの1回を新年(1月1日)に撞く。

やはり大晦日の夜、秋田県の男鹿市とその周辺地区で行われる伝統的な民俗行事、なまはげは有名。本来は小正月の行事であった。 「男鹿(おが)のナマハゲ」として、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
冬に囲炉裏(いろり)にあたっていると手足に「ナモミ」という低温火傷ができることがある。それを剥いで怠け者を懲らしめ、災いをはらい祝福を与える「ナモミはぎ」から「なまはげ」と呼ばれるようになった。 一般的に、赤面がジジナマハゲ、青面がババナマハゲとされている(違う地域もある)
鬼の面、ケラミノ、ハバキを身に付け、大きな出刃包丁(あるいは鉈)を持ったなまはげが家々を訪れ、「泣ぐコはいねがー」という荒々しい声を発しながら怠け者、子供や初嫁を探して暴れる。主人はなまはげをなだめながら丁重にもてなす。

師走は日本人にとって最も大事な年中行事、正月を迎える準備の月であり、活気と新年への期待感にあふれている。
同時に過ぎ行く1年を振り返り、その年におこった様々な出来事に思いを馳せる月でもある。


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