菊人形(菊まつり)
連歌、連句、俳句で、句の季節を示すために読み込むように定められた語。例えば鶯は春の季語、金魚は夏。季題、季の言葉とも言う。
菊を観賞する習慣は、平安時代重陽の節句(旧暦9月9日)とともに中国から伝わった。春のサクラに対して日本の秋を象徴する花となるが、それが決定的になったのは、鎌倉時代の初め後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好み、「菊紋」を天皇家家紋とした頃からである。
江戸時代前期から栽培熱が高まり、多数の品種が生み出されるとともに、正徳頃からは「菊合わせ」と呼ばれる新花の品評がしばしば行なわれた。また、江戸、伊勢、京都、熊本などでそれぞれ独自の品種群、系統が生じた。「三段仕立て」などの仕立ての様式やその丹精の仕方なども発達し、菊花壇、菊人形など様々に観賞された。
明治時代になると大輪を求める傾向が強まり、次第に「大菊」が盛んになった。なかには花の直径が30センチメートルに達する品種も現れた。
現在では各地に愛好会ができ、また10月から11月にかけて日本全国で菊まつりが開かれ、コンクールや菊人形の展示が行われる。
菊人形は菊の花や葉を細工して人形の衣装としたもので、菊細工とも言われる。特に日本三大菊人形と言われる大阪府枚方(ひらかた)市、福井県越前市(たけふ菊人形)、福島県二本松市のものが有名だが枚方市のひらかた大菊人形は、2005年を最後に96年の歴史に幕を下ろした。
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